アオサギを議論するページ

大規模コロニー列伝

先日の投稿で、北海道浦幌市と秋田県男鹿市、それに三重県尾鷲市が市の鳥をアオサギに指定していることを紹介しました。浦幌のコロニーについては稲穂コロニーのページに詳細を書いていますが、他のふたつのコロニーについても概要を書いておきたいと思います。

コロニーの位置(大きな地図で見る

まずは男鹿のコロニー。ここのアオサギは男鹿半島の山の中腹に営巣しています。私もずっと前に訪ねたことがありますが、ほんとうに山の中です。コロニーのある場所の標高は約400m。餌場になりそうな水辺といえば、山を下りて海に出るか、東へ14、5キロ飛んで八郎潟に出るしかないというような所です。飛翔力のある彼らにしてみれば、その程度は全く苦にならないのかもしれませんが、なにもわざわざこんな奥に引っ込まなくてもという感じです。

このコロニーについては1980年台の初めにかなり詳しく調査されていて、当時、推定で100つがい余りが営巣していたと報告されています(Ogasawara et al. 1982)。これが1955年まで遡るとずっと増えてだいたい250つがい。アオサギ単独コロニーとしては当時おそらく国内最大級だったはずです。

ここは営巣環境としては申し分ないところで、人里離れた場所である上に、巣がかけられているのは立派な秋田杉です。同報告書には、『このアオサギコロニーは面積2.48haにわたり、スギ約250本の天然林の地域である。この天然スギは胸高幹囲2.40-3.60m、高さ約30-40mの高木で、樹令約50-250年(平均150年)のものが多い』とあり、とても贅沢な居住環境であることが想像できます。

ただ、私がここを訪れた際、コロニーの傍らの木碑に「青サギ群生地」と書かれていたのには閉口させられました。植物でもないのに「群生」はあんまりです。このコロニーについては、上述の調査以降、これといった記録が無く、現在どのような状況なのかよく分かりません。近年、この地域では平地のもっと水辺に近いところにいくつかコロニーができているようですし、男鹿のコロニーが現在も昔のような規模で維持されているとはちょっと考えがたい気がします。

コロニーの位置(大きな地図で見る

次は尾鷲市のコロニーです。ここのアオサギが暮らしているのは尾鷲湾の入り口の佐波留島という無人島。アオサギとゴイサギの混合コロニーで、アオサギの繁殖個体数は1970年の調査で300〜350つがいと推定されています(倉田、樋口 1972)。記録上、国内でこれを凌ぐ大規模コロニーはごくわずかしかありません。少なくとも、1970年当時は国内最大のコロニーだった可能性は高いと思います。この報告はこちらのページで全文が読めますので興味のある方はどうぞ。なお、このコロニーも入手できる情報は上述のものだけで、その後の状況は分かりません。無人島ですし、餌場に大きな変化がなければ消滅はしていないと思いますが、どうなのでしょう。現地の状況が分かる方がいればお教えいただければ幸いです。

この他にもこれまであるいは現在、これらよりさらに大規模なコロニーはいくつも存在したと思われます。そして、その中で現存する国内最大規模のアオサギコロニーといえば、おそらく網走湖のコロニーをおいて他にないでしょう。網走湖コロニーはこちらのページに書いているように、2009年の時点で推定450〜500巣という巨大コロニーです。発見されてからでもすでに60数年。巣がかけられているのはハンノキ、ハルニレ、ヤチダモといった巨木で、おまけに林床は天然記念物の湿生植物群落で人が立ち入れないという、営巣環境としてはまず理想的な場所です。餌場も網走湖をはじめオホーツク湖沼群をほとんど独り占めしています。よほどのことが無い限りこの先も国内最大規模の地位は揺るがないでしょう。ただ残念なのは、それほどのコロニーでありながら認知度が極めて低いこと。地元の人にさえほとんど認知されてないという有り様なのです。これはいけません。コロニーのある大空町(旧女満別町)には、町の鳥をアオサギにするよう是非、検討してもらいたいものです。


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