アオサギを議論するページ

外敵

外敵

2009/06/18(Thu) 09:27      うし      犯人は??

今年、宮島沼のコロニーで卵や雛の補食が目立つようです。
現場のコロニー横の畦にはトウモロコシ、魚のウロコ、ペレット、ほ乳類の糞などがかなり残されています。

最初はカラスの仕業かと思いましたが、一昨年から確認されているアライグマも怪しくなってきました。そういえば、いつもの場所にタヌキの溜め糞もなくなっています…。

卵や雛の補食は他のコロニーでも当たり前ですか?
また、食痕などから「犯人」を特定することはできますか??


2009/06/19(Fri) 07:38      まつ@管理人      Re: 犯人は??

写真の卵、きれいに穴を空けられていますね。こんなのを見ると、スイカやメロンに穴を空けて中を掻き出すというアライグマを連想してしまいます。ただ、卵くらいならもう少し大胆に壊してしまう気もするのですが…。実際はどうなのでしょう。

アオサギの卵やヒナの捕食は頻繁にあることとは言えませんが、稀なことでもありません。どのコロニーでも多かれ少なかれあることのようです。捕食者として挙げられるのは、鳥で言えばハシブトガラスと比較的大型の猛禽類です。猛禽類はオジロワシが襲う例が近年しばしば報告されている他、クマタカの幼鳥が襲ったケースも確認されています。オオタカもそれらしいことをするようです。トビはコロニーに日常的に現れ、たまに積極的に仕掛けることもありますが、あまりアオサギの脅威にはなっていないようです。私は彼らの狩りが成功したのをこれまで一度も見たことがありません。一方、地上性の捕食者としては、ヒグマとアライグマが主なものだと思います。このうちヒグマは営巣木に登ってヒナを食べるのが実際に確認されています。アライグマのほうはもう十年以上前から問題になっていますが、国内で実際に襲撃が目撃された例はありません。ただ、アライグマは見た目以上に木に登るのが得意なようで、たとえばアメリカでは巣にいたオオアオサギのヒナがアライグマに襲われています。アオサギより大きなオオアオサギでさえ襲われるのですから、国内のアオサギにとってもアライグマが現実の脅威であることは間違いないと思います。

ということで、卵に穴を空けた犯人は、上に挙げた動物のいずれかだと思います。もっとも、ヒグマやクマタカは宮島沼にはいないでしょうけど。誰がどのような食痕を残すかについては残念ながら私も分かりません。ただ、写真の卵に関しては私はカラスの仕業でないかと。左の写真は網走湖でコロニーから100メートルぐらい離れたところに落ちていたもので、これもうしさんの写真と同じような割れ方をしています。ヒナが生まれた場合は、このような割れ方にはならないようです。この穴ではヒナが出てくるには小さすぎますから。おそらく、カラスが運んできて、ここで穴を空けて食べたのでしょう。

コロニー横の畦に残された魚の鱗とかは、キツネがコロニーの下に落ちている魚を拾ってきたのかもしれませんね。コロニーの真下やすぐ近くにキツネの巣があることはけっこう多いです。


2009/06/20(Sat) 19:23      エゾミユビゲラ      Re: 犯人は??

私もカラスの説に賛成です。
コロニーでの卵や雛が捕食されることはよくあることです。この卵の穴の空き方から見て、嘴でつついたものとしか思えません。
通常卵及び幼い雛の時期は必ず雌雄どちらかの親が巣にいるもので、親がいる限りからすも手が出せないのが普通です。

しかし、猛禽類あるいは人がコロニーへやってきた時は親が飛んで行ってしまいます。その時を狙ってカラスが卵や雛を襲うことを何度も目撃しています。

住宅街や公園にあり人馴れしたコロニーでは例外ですが。

名寄のコロニーではオジロワシが、旭川のコロニーではクマタカの幼鳥がやって来て、オジロワシやクマタカの被害以上に漁夫の利を狙うカラスからの被害の方が大きいです。

写真は旭川コロニーへやって来たクマタカと、遠巻きに見ているアオサギです。


2009/06/20(Sat) 19:30      エゾミユビゲラ      Re: 犯人は??

通常静かにしていますが、コロニー付近には何百羽というカラスが様子を伺っており、コロニーに撹乱が起こると必ずやって来ます。

写真はカラスによって地面に落とされた雛です。


2009/06/20(Sat) 19:54      まつ@管理人      Re: 犯人は??

アライグマの件ですが、サギのコロニーを襲撃したという記事がこのページに載っています。よろしければご参考に。

これはアメリカ、ミネソタ州においてオオアオサギのヒナが襲われたケースで、その結果、ピーク時に700巣もあった大規模コロニーが営巣期の真っ最中に突然放棄されたというものです。ただ、この報告では放棄の原因をアライグマを含めひとつには特定していません。数ある要因のうち、アライグマの捕食はかなり決定的だったかもしれないというほどのニュアンスです。私はこれを読んで1996年に北海道の野幌コロニーで起こった同様の事件を思い出しました。ふたつの事例で唯一違うのは、野幌のケースではアライグマの襲撃が状況証拠からの推定でしかなかったのに対し、ミネソタのケースでは実際にヒナの捕食が目撃されていることでしょうか。

記事を読む限り、親がいてもアライグマには敵わないようですね。それに、アライグマが木に登る能力は想像以上のようで、人が営巣木の幹に小手先の防御手段を講じたぐらいでは対応できないようです。北海道でも増える一方のアライグマですが、こんな記事を見ると、野幌の事件以降、アライグマが原因でコロニーが放棄されたという話を耳にしないのがむしろ不思議なくらいです。もしかすると、アライグマの犯行が明るみに出ていないだけかもしれませんが…。


2009/06/21(Sun) 09:07      うし      Re: 犯人は??

やっぱりカラスでしょうか。コロニー周辺はトビやカラスがけっこう飛び回っています。宮島沼周辺はボソがメインですが、ハクチョウの死体などがある時期にはブトもちょくちょく現れます。

写真は同じ場所に落ちていた「足」です。おそらく幼鳥もものかと…。こうした食べ残しが同じ場所に集中しているのも気になります。アライグマやキツネにはそんな習性があるのでしょうか?

いずれにしても「現場」がわかっているので、こんど赤外線カメラでも仕掛けてみようかと思います。


2009/06/22(Mon) 06:35      まつ@管理人      Re: 犯人は??

以前、あるコロニーで繁殖期の終わった後、林床に落ちているヒナの死体を片っ端から集めたことがあります。百数十つがいのコロニーですが、巣から落ちて死んでいるヒナは想像以上に多く、骨や羽根などが段ボールにいっぱい集まりました。このコロニーには営巣木の真下にキツネの巣がありました。おそらく、落ちたヒナの多くはそこのキツネに食べられていたのだと思います。アオサギの繁殖期はちょうどキツネの子育て時期に当たりますから、キツネにとってアオサギのコロニーはまたとない食料庫なんですね。そこにいれば、ヒナだけでなく魚まで降ってくるわけですから。

これは一例ですが、同じような状況はどこにでも見られます。キツネがアオサギのヒナを食べるのはわりと普通のことのようです。ただ、キツネの仕業と見られる羽根や骨の残骸はそこかしこに散らばっており、私が見回った中では食べ残しをどこかに集めているということはありませんでした。
アライグマのほうはどうなのでしょうね。食べ物を洗って食べるくらいですから、変に几帳面なところがあるのかもしれませんけど。

赤外線カメラで真犯人が特定されることを期待しています。そのときは是非またご報告ください。


2009/06/26(Fri) 19:51      エゾミユビゲラ      Re: 犯人は??

カラスによって落とされた雛を襲うキツネ(夕刻であまり鮮明ではありませんが)です。

親が雛を残して餌を獲りりに行き始めた早々に、雛を襲うカラスが出現して幾つかの巣を襲いました。単独犯で、落とした雛を何回か突きに来ましたが、それほど食べるでもありません。

雛はまだ生きておりましたが、やがてキツネがやって来て襲いかかり、殺してしまいました。

キツネは落ちた雛を食べるだけなので、アオサギにとっては脅威ではなく、コロニーの下を歩いても騒ぎもしませんが、アライグマとなると一寸問題ですね。

2008/09/11(Thu) 01:38      まつ@管理人      無題

3羽のヒナがいる巣がありました。この巣でヒナが誕生したのは6月上旬。他の巣では4月中旬に生まれたところもありますから、ざっと7週間くらいの開きがあります。さすがにこれだけ遅いと繁殖の成否にも大きく関わってきます。では、どのくらい影響があるかということですが、たとえばアメリカのオオアオサギの事例で紹介すると、最初の週に産卵したつがいでは、そのヒナの死亡率が16%なのに対し、5-11週目になると60%に達する(Butler 1995)ということです。

残念なことに、この巣のヒナたちも巣立ちまで生き抜くことはできませんでした。私の目の前で次々にカラスに殺されてしまったのです。写真は6月24日、まだヒナが3羽とも生きているときに写したものです。このヒナで2週目の終わりか3週目の初めくらいです。写真では1羽しかいないように見えますが、実際は同じくらいの大きさのヒナが3羽います。そして、巣の下の枝に見えるふたつの黒い影がハシブトガラスです。この写真には入っていませんが、もう2、30センチ離れたところにもう3羽います。

この巣の親鳥がなぜいなくなっていたのかは分かりません。おそらく、ヒナがこのくらいの大きさなら巣を空けても大丈夫と親鳥が判断したのでしょう。けれども、もし本当にそうだとしたらそれは大きな間違い。カラスはその気にさえなれば自分と同じくらいの大きさのヒナでも巣から引っぱり出すこともあるのです。この程度の大きさのヒナなら訳もありません。ただ、1羽のヒナなら問題なくても、3羽になるとちょっと厄介なようです。相手が3羽だと、1羽を襲っている隙に別のヒナに突つかれる恐れがあるのでしょう。このときのカラスは5羽もいるにもかかわらず思いのほか慎重でした。様子を伺っているのか、ヒナの間近にいるのに何も起こらず、奇妙な膠着状態が10分ばかり続いていました。そのときの様子を写したのがこの写真なのです。

しかし、そんな状態もやがて終わる時がきました。1羽のカラスが枝をあちこちに移りながらヒナに向かって突っつき始めたのです。3羽のヒナも負けずに突つき返していました。ただし、カラスのほうは安全な距離をとっているので、実際はどちらのくちばしも相手には届きません。こういう攻防が1分半ほども続いたでしょうか。ある瞬間にカラスにスイッチが入るのがはっきりと分かりました。カラスは1羽のヒナが深く突っついてきたところをくちばしで捉え、そのまま巣の下へ引きずり落としてしまいました。1羽がいなくなると、残りの2羽が襲われるのは瞬く間でした。1羽目が巣から落とされてから3羽目が攻撃されるまでたぶん1分ほどだったと思います。結局、残りの2羽は、1羽がカラスにくわえられたままどこかに連れ去られ、もう1羽は巣の中で食べられてしまいました。

こういう場面に出くわすと、走っていってカラスを追い払いたい衝動に駆られます。しかし、それをしないのは、自然界の出来事だから人が干渉すべきではないという思いと、もしそんなことをしようものなら、カラスが引き起こしている以上の混乱をコロニーにもたらすだろうという実際的な問題があるからです。結局、何もできないもどかしさに苛まれつつ、ただの傍観者として事態の一部始終を眺めることになります。

じつは、この事件を見ていたのは私だけではありませんでした。5メートル離れたところにある巣の親鳥(後日、無事、3羽のヒナを巣立たせました)が、自分の小さなヒナたちを翼の下に入れたまましっかりと見ていたのです。その時、親鳥が「あの小ささではまだカラスにやられる、もっと大きくなるまで巣にいて護らなければならない」と思ったかどうか。この親鳥が隣のヒナの犠牲を見て自らの子育ての教訓にしたと思いたいものです。

2008/04/28(Mon) 11:32      まつ@管理人      黒い略奪者

アオサギとカラス、これはもう昔から諍いの絶えない間柄です。とくにアオサギが卵や小さなヒナを温めている時期はアオサギは一刻も気が抜けません。親がちょっとでも巣を留守にすると、たちどころにカラスが集まってきて卵やヒナを略奪していくからです。

写真はカラスに襲われたコロニーの様子です。写真中央やや左下の巣にカラスが入り込んで卵を漁っています。一瞬前にここの親鳥が巣を空けこの惨事になったわけです。親が巣を離れる原因には様々なものがあります。たとえば、オジロワシやオオワシといった大型の猛禽がコロニーに飛来した場合。これは猛禽そのものの襲撃にカラスが便乗するわけですから大変な被害になります。他に多いのは、人が不用意にコロニーに近づく場合です。何かに驚いて親鳥が巣を離れるケースとしては、もしかするとこれが最も多い理由かもしれません。とくにアオサギが警戒するのも構わず、カメラを抱えて無闇にコロニーに近づこうとする人は問題です。

では、この写真のアオサギは、いったい何に驚いて巣を離れたのでしょう? じつはこれ、自分たちアオサギの仲間に驚いて飛び立ったのです。というのも、コロニーに戻ってきた一羽が、脚に2メートルほどのテープ状のものをくっつけて飛んでいたのです。それが人工物なのか自然のものなのかは分かりません。おそらく水辺で餌を探しているときに絡まったものなのでしょう。ともかく、コロニーで抱卵中のアオサギたちにとっては、何かとんでもなく変な奴がこちらに向かって来るという感じだったのだと思います。遠くから観察していた私にもかなり異様に見えましたから。

その一羽が舞い降りようとした一角はたちまち大混乱。十数羽の親鳥たちが一斉に飛び立ち、巣は無防備なまま開け放たれました。多くの親鳥はほどなく巣に戻りましたが、平静を取り戻せないのかなかなか戻ってこない親鳥もいて、その結果が写真のような有様です。ものの1分もたたないうちに、どこからともなくわらわらとカラスが集まってくるわけです。このときは少なくとも4巣で卵の略奪が見られました。1羽のカラスはまるで盗った卵を見せびらかすように、青緑色の鮮やかな卵をくちばしにくわえたまま私の頭上間近を飛んでいきました。

それにしても、猛禽や人が近づいてきたというならともかく、驚いた原因が自分たち仲間であったとは。一見、彼らの生活は単調で型どおりのように見えますが、さにあらず。じつはそこかしこに予想外の出来事が待ち構えているのですね。


2008/05/05(Mon) 19:13      まつ@管理人      Re: 黒い略奪者

カラスに卵を奪われた巣がその後どうなるのかはとても気になるところです。その辺のことを自分なりに考えてみました。

まず、卵を失った直後の状況としていくつかのケースが考えられます。ひとつは、全ての卵を盗られるか壊されるかして巣の中に健全な卵がひとつも無くなった場合。もうひとつはいくつかの卵が奪われたものの巣の中に卵が残っている場合です。そしてこれらはそれぞれ、雌が卵をまだ産卵中の場合と、すでに全ての卵を産卵し終えている場合に区分して考えることができます。

これらのうち、その時点で最悪なのは全ての卵を産み終えた後に全ての卵を失った場合です。こうなると、アオサギとしてはもう最初から繁殖をやり直すほかありません。幸い、アオサギは一度繁殖に失敗すると再び卵を産み直すことができます。ただ、産み直せるとはいっても、再営巣で産み直す卵数は平均1.3個という報告もあるくらいで、通常3個から5個の卵を産むアオサギにしてみれば2度目はかなり控えめになります。それに、災難に巻き込まれなかった他のつがいよりはかなり遅れて繁殖を始めることになりますから、当然、ヒナが生まれる時期も遅くなります。ヒナは最初からたいへんなハンディを負うことになるのです。餌の多い時期を逃してしまうばかりでなく、周りの大きなヒナに餌を奪われることも多くなります。問題なく成長したヒナに比べると巣立ちまで生存する可能性はかなり少なくなるはずです。

次は全ての卵を産み終えたあと、いくつかの卵を失ったもののまだ巣の中に卵が残っている場合。これはアオサギとしては悩みどころでしょう。3つとか4つとか卵が残っているならそのまま抱卵を続けると思いますが、たとえば1個しか残っていない場合だとどうするのでしょう? この場合は卵の中のヒナの成長具合も考慮しなければならないでしょうね。もうすぐ孵化という段階であれば、たとえ1卵だけでもその卵を温めてヒナを孵すと思います。難しいのは抱卵の初期の段階で卵を失った場合。彼らには三つの選択肢があると思います。残った1卵を放棄し、より多くの卵を産むことを期待してもう一度最初から繁殖をやり直すか、あるいは、1卵を温めつつ、さらにもう一度卵を産み直すか、それとも、残っている1卵だけをその先ずっと温め続けるか、ということです。さて、アオサギはどれを選択するのでしょう? この辺の研究は少なくともアオサギに関する限り見たことがないので確かなことは分かりませんが、彼らが目の前にある卵を見捨てることはまず無いだろうと思います。かといって、その1卵を温めながら、さらにもう一度産卵を繰り返すということも考えられません。なぜなら、そんなことをすれば、残った1個の卵から生まれたヒナが、ずっと後から生まれてくる小さなヒナを皆つつき殺してしまうでしょうから。結局、時期が早くても卵が残っていれば、再営巣することなく、残った卵を最後まで温めるのではないでしょうか。

ここまでは雌が全ての卵を産み終えた後に惨事が起こったというケースを想定しましたが、今度は雌が産卵中に卵を失ったという状況です。この場合は卵を全て失ったか一部を失ったかにかかわらず、その後産む予定?だった卵は状況が変わっても産むだろうと思います。卵を失ったショックで卵を産めなくなることもあるのかもしれませんが、その辺の生理的なことはよく分かりません。ただ、少なくなった分を余計に産むかというと、それはちょっと疑問です。たとえば、4個の卵を産んだところで3個を奪われ1卵だけ残ったとします。その雌が最終的に5卵産むつもり?だったとして、1卵になったからといって引き続きあと4個の卵を産めるでしょうか。私はそれは少し無理のような気がします。

いずれにしても、抱卵中に卵を失うと、その後の努力で損失を補うことはほとんど不可能です。アオサギは産み直しができるから卵を失ってもたいした影響は無いという声をたまに耳にしますが、これはとんでもない間違いです。

写真はハシブトガラスを威嚇するアオサギのつがい。羽毛の逆立て具合を見れば、彼らがいかにカラスを油断のならない存在と見ているかが分かりますね。カラスは私は好きな鳥ですが、アオサギにしてみればとても気を許せるような相手ではないのでしょう。

2008/04/04(Fri) 22:05      エゾミユビゲラ      オジロワシが居座っています。

北海道のアオサギもいよいよ繁殖期に入りましたが、とても気になるコロニーがあります。

名寄のコロニー付近には3月24日に飛来し、コロニーへ入ったのは3月31日でした。しかし時折コロニーへオジロワシがやって来て、アオサギはその度に全部が飛び立ち、しばらくすると戻って来るということを繰り返していて、巣材運びや産卵と言った行動に移れません。4月4日現在もこの状態が続いています。

今の所まだコロニーを放棄はしていませんが、今後どうなるか気になるところです。


2008/04/07(Mon) 22:01      まつ@管理人      Re: オジロワシが居座っています。

オジロワシの動向、気になりますね。札幌近郊のコロニーでもそういうことは起こりますよ。今年の3月12日に江別コロニーを見に行ったとき(この日かこの前日くらいにコロニーに入り始めたようです)、コロニーにはまだ十数羽しかいませんでしたが、オジロワシが飛来して皆飛び立っていました。アオサギがコロニーに入り始める春先は、こういうことはあちこちで起きているのではないかと思います。ただ、こんなことが起こるのはワシが繁殖地へ帰るまでのごく短い期間で、いつまでも続くということは普通は無いのではないかと思います。いつもオジロワシが襲ってくるような環境だと、アオサギも穏やかに子育てできないでしょうから。

とはいえ、オジロのいる環境でアオサギが営巣している場所も道東のほうでは普通にあります。ひどいところはコロニーから数十メートルしか離れていないところにオジロの巣があったりします。アオサギにしてみればオジロワシはいないほうが有り難いと思いますが、オジロワシが全くいない環境を見つけるとなると、アオサギの営巣場所の選択肢はずいぶん狭められてしまいます。なので、そこに住むオジロと何とか折り合いを付けられている場合は、ワシがいても許容しているという状況なのだと思います。

ただ、問題はオジロワシにもいろいろなのがいること。慎ましやかで節操のあるワシもいれば、やりたい放題のワシもいます。そして、アオサギにしてみれば、ワシの行動が許容できるレベルになければ他の場所に移動するしかありません。そんなことで別の場所へ移ったコロニーが実際にいくつかあります。

北海道内でのここ20年くらいの状況を見ると、オジロワシの食性が多少変化しているようにも思われます。本来はアオサギには見向きもしなかったのが、最近はアオサギやアオサギのコロニーを襲うケースが増えてきているのです。アオサギの個体数増加や分布域の拡大に伴って、アオサギとワシの遭遇頻度が増えたことがひとつの理由かもしれません。

名寄のコロニーに入ったのが3月31日だとすると、今日でもう8日目になるわけですが、まだ同じ状態が続いているようだとアオサギにとっては厳しいですね。一時的なものであれば良いですが。


2008/04/08(Tue) 13:13      エゾミユビゲラ      Re: オジロワシが居座っています。

その後の経過について、現地の方から連絡がありました。
本日4月7日もやはりオジロワシは居座っており、巣から巣へ渡り歩いている様で、卵でも食べているのかも知れません。

早朝には巣にいたアオサギも一斉に飛び立ち、正午現在1羽もいないという状況だそうです。


2008/04/08(Tue) 23:20      まつ@管理人      Re: オジロワシが居座っています。

うーん、これはちょっと大変なことになりましたね。
アオサギがコロニーに来た当初から同じ状態だとすれば、アオサギも卵を産んでいる余裕は無いような気もしますが、ワシが巣から巣へ渡り歩いているということであればやはり卵を漁っているのでしょうか。

私も道東の音別のコロニーでワシが巣を渡り歩きながら卵を次々に食べていくのを目撃したことがあります。そのときはオジロワシではなくオオワシの幼鳥で、時期は4月の半ばでした。そのコロニーが連日そういう状態だったのか、たまたまそのときだけオオワシが飛来したのかは判りませんが、幸いなことにあれから15年以上経った今でもコロニーは健在です。

名寄の場合はどうなのでしょう? 最近、内陸に分布を広げているオジロのことですから、その辺りで営巣することも十分あり得ると思います。そうなるとアオサギもいよいよ大変なことに…。道北の拠点となる大きなコロニーなだけに、今後の状況によっては周辺地域のアオサギの生息状況が大きく変わるかもしれません。

今の営巣場所は、アオサギのために個人がわざわざ買い取った林ということもありますし、なんとか現在の場所でコロニーが存続してもらいものですが。


2008/04/09(Wed) 21:41      エゾミユビゲラ      Re: オジロワシが居座っています。

本日9日、当地に行ってきました。

午前10時頃当地に着いたとき、コロニーには1羽もおらず、付近の田んぼに降りておりました。正午頃より少しづつコロニーへ戻って来ました。

まだコロニーを放棄していなくてほっとしましたが、まだ落ち着かず、しばしば飛び立っては戻ることを繰り返しています。

先週3日にははっきりオジロワシを確認しましたが、今日はオジロワシの姿を確認する事はできませんでした。

まだ個々の営巣活動どころではないようです。今後どうなるか予断を許せないところです。

名寄にはオジロワシの営巣地があるそうです。

写真はアオサギがおどろいて一斉に飛び立ったところです。


2008/04/10(Thu) 23:10      まつ@管理人      Re: オジロワシが居座っています。

放棄されてはないということでほっとしました。しかし、近くにオジロワシの営巣地があるとなると厄介ですね。もともとオジロがいたということは、今年になってオジロの行動が変わったということでしょうか。そういうことも少なからずあるようですから。たとえば、釧路動物園のアオサギコロニー。ここも昔からオジロが近くに巣をつくっていますが、最近(といってももう7、8年前)になってオジロがアオサギを襲うようになったといいます。ただ、そこのサギたちがコロニーを放棄していないところを見ると、名寄のアオサギもこの時期まで居続けているのだから大丈夫なのかなという気もするのですが。なんとか早く落ち着いてほしいものです。


2008/04/29(Tue) 20:17      エゾミユビゲラ      無題

4月19日の現地からの報告によると、もう抱卵していると思われるアオサギがオジロワシの気配に驚いて1羽残らずコロニーから飛び立ち、その時とばかりカラスが群がり漁夫の利を得んとしているようだとの事です。

付近の畑にはいくつかの卵が落ちていたそうです。

4月29日現在、アオサギは落ち着いて抱卵しているようですが、例年に比べがなり数が減ってしまったとの事です。


2008/05/05(Mon) 19:13      まつ@管理人      Re: 無題

名寄はコロニーの全面放棄という最悪の事態にはならなかったと安堵しましたが、状況はあまり思わしくなさそうで残念です。来年も同じ状況が続くようだと、この場所で営巣を続けることにはかなり悲観的にならざるを得ませんね。

2006/08/13(Sun) 20:05      まつ@管理人      同じ木に2羽!

アオサギの敵といえば、皆さんどのような動物が思い浮かぶでしょうか。
例えば北海道でいうと、ヒグマ、アライグマ、オオワシ、オジロワシといったところが挙げられるわけですが、これらの動物とアオサギとの間には捕食者・被食者というはっきりした関係があるわけではありません。お互いが遭遇したときに何が起こるかは、その時その時によって様々です。
極端な場合は、彼らの執拗な攻撃によってアオサギのコロニーが消滅することさえありますが、逆に、近くにいても双方まるで無関心ということもあります。

このページはアメリカ、オハイオ州の記事で、「双方まるで無関心」の一例です。(写真はクリックで拡大可)
アメリカなのでアオサギではなくオオアオサギ、ワシはハクトウワシです。オオアオサギとハクトウワシの関係は、日本のアオサギとオジロワシの関係とほぼ同じと見て差し支えないと思います。以前、春先の氷上で、アオサギとオジロワシが10メートルばかり離れて休んでいるのを見たことがありますが、その時でさえ、少し近すぎるのではないかと違和感を覚えたものでした。それが、この近さですから。これだけ近いとかえってリアリティーが無いというか、ニュースになるのも頷けます。

記事を読むと、先にハクトウワシがいたところに、後からオオアオサギが飛来したようですね。なんでも、この写真が撮られた辺りは普段はハクトウワシはいない所なのだとか。たまたま近くを通りかかったオオアオサギが、見慣れない顔に興味を持ってちょっと見に降りてみた、というところなのでしょうか。

2006/04/28(Fri) 20:15      エゾミユビゲラ      天敵

昨日、幌向ダムへ行って来ました。ブイの上に11巣営巣していました。管理人さんの話では、「堤防から先へ行って、親を飛ばすと、直ぐにカラスに卵を持って行かれるので、それ以上近づかないように」とのことでした。アオサギのことを暖かく見守ってくれているようで嬉しいです。

毎年のように、カラスに卵を持っていかれる記事が掲載され、カラスが天敵の様に書かれていて、これが定着しそうですが、私が延べ1,000時間ほど営巣を観察した中で、カラスに卵を持って行かれたのは2回で、2回ともコロニー内に観察者かカメラマンが入ってきた時でした。添付の新聞の写真は、私の良く知っているコロニーですが、おそらくこの撮影者が親を飛ばした結果だと私は考えます。カラスが天敵という先入観が定着するより、抱卵中の親を飛ばしてはならないと言う考えを、定着させたいものです。


2006/05/01(Mon) 01:02      まつ@管理人      Re: 天敵

幌向ダムの管理人さんはとても気持ちの良い方で、ああいう方に見守られているコロニーは幸せだなと思います。もっとも、管理人さんの目が行き届く範囲には限界があって、人がコロニーに近づかないように番はできても、アライグマやヒグマの番まではさすがにできてないようですが…。

写真の記事は私も見ました。この時期になると毎年決まって同じような写真と記事が載りますね。記事の評価については私もエゾミユビゲラさんと全く同意見です。この記事に書かれた状況がどのような経緯で生じたのかは分かりませんが、自分の観察経験から考えても、カラスがアオサギの卵をさらうというのは滅多になく、また、万一そうしたことが起こった場合、その原因は十中八九、人にあると思います。

今回、エゾミユビゲラさんが示された具体的な数値は元になる時間が時間だけに説得力がありました。私も相当長い時間アオサギを観察してきましたが、人が何もしない状況でカラスがアオサギの卵を奪ったという状況は、たしか一度あったか無かったかというくらいです。うろ覚えですが、そのときは複数のカラスを追い払っていた親が、その対処に混乱して一瞬巣を離れ、その隙に卵を奪われたと記憶しています。なので、記事のようなことが絶対に無いとは言えませんが、あったとすればよほど希なことでしょうね。

人がコロニーに近づく→親が驚いて巣を離れる→カラスが卵(またはヒナ)を奪う、というからくりも、知ってしまえば単純なことですが、実際にそういう場面に遭遇しない限りなかなか気付くものではないのかもしれません。抱卵期やヒナが小さな時期は、とくにそっと見守ってあげたいものです。


2006/05/01(Mon) 20:33      白井たけし      Re: 天敵

私の調べている多摩動物公園の繁殖地でも、時々カラスに卵を食べられることがあります。まつさんのおっしゃるように、人が巣の近くに入ったときに、親が巣から立ち上がったり逃げたりした隙にかすめとったり、数羽のカラスが巣の周りを取り囲んでいて、親が追っ払おうとした時に卵を取られる、というのを見たことがあります。あと、ヒナが少し大きくなったときに、親がエサ取りで巣を離れた時、ヒナを引きずり出そうとしているのもちょくちょくみられます。完全に羽がのびていないヒナが食べられているようです。
多摩動物公園は市街地に近いため、カラスのねぐらになることもあるので、こちらでの卵やヒナの捕食は比較的多いと思います。

あと、こちらではトビがコロニー上空を飛んでいましたが、捕食されていたかどうか不明です。


2006/05/02(Tue) 22:36      まつ@管理人      Re: 天敵

カラスの捕食については、白井さんが言われるように、場所が違えばその程度も異なるということなのでしょう。ただ、コロニーの近くにカラスが多いと捕食の頻度が増えるかというと、そうはならないような気がします。これまで私が一番長く観察したコロニーは、海沿いの小さな町の町はずれにありましたが、コロニーのすぐ横が飼料工場で、屋外に積まれた生魚にはいつも無数のカラスが群がっていました。コロニーの上空がカラスで真っ黒になることもたびたびでした。ところが、そんな状況でも卵がカラスに盗まれることはまずありませんでした。たぶん、場所が違えばカラスの食に対するこだわりも違うということなのでしょう。アオサギの卵やヒナがカラスの興味をかき立てるところもあれば、他にもっとめぼしいものがあって、アオサギにさほど執着しないでやっていけるところもあるということでしょうか。

けれども、場所によってカラスの振る舞いが多少違うとはいっても、人が不用意にコロニーに近づきすぎることがアオサギにとって迷惑なことに変わりはないと思います。カラスはどこで目を光らせているか分かりませんからね。

左の写真はアオサギの巣の目と鼻の先にカラスの巣があったという例。こういう例はわりとよく見かけられます。見にくいですが左斜め下の黒いのがカラスです。両者の巣間距離は5メートルくらいでしょうか。これだけ近くて普段から顔見知りだと、カラスも悪いことはできませんね。


2006/05/04(Thu) 21:15      エゾミユビゲラ      Re: 天敵

鳥にも個性というものはあるようですね。Mick Marquiss著の「HERONS」によると元来アオサギには天敵はいない、と言うのは「捕食者に対してその鋭い嘴で目を攻撃するからだ」と述べておりますが、あるイヌワシの巣から6本のアオサギの肢が見つかり、調査の結果アオサギの眼への攻撃をかわす技を身につけた特殊な個体だったと述べておりました。

管理人さんが、コロニーの約100日を抱卵期、育雛前期、育雛後期、巣立ち期の4つの期間に分けておられるますが、
抱卵期と育雛前期は親のどちらかが必ず巣に残っている時期です。それは、保温のためと他でもないカラスや猛禽類から卵や雛を守るために他ありません。

私の観察している地域では、オジロワシと重なる所はないのですが、オジロワシには目潰し攻撃は通用しないのでしょうか・・・?


2006/05/05(Fri) 22:20      まつ@管理人      Re: 天敵

オジロワシは、ダメですね。オオワシもダメです。
ワシが近づくとコロニーにいるアオサギたちはたちどころに飛んでしまいます。たとえば、カラスが襲ってきたのであれば、ギャーギャー鳴いて大騒ぎになりますが、ワシの場合は声もなくサーッといなくなった記憶があります。自分の巣が襲われていると、ワシに近づいて威嚇しようとする個体も中にはいますが、そんな個体でもワシに自分のほうを振り向かれると慌てて逃げてしまいます。そんなわけなので、サギとワシの接近戦というのは、私は未だ見たことがありません。
しかし、眼への攻撃を怖れて攻撃を控えるということは個体によってはありそうですね。

アオサギとオジロワシはどちらも水辺を餌場にしているので、生息地が重複しているケースも多いわけですが、両者の関係は場所によって様々です。ワシが頻繁にコロニーを襲うところもあれば、コロニー上空をワシが毎日飛んでいるのに、アオサギにはまるで無関心というところもあります。ワシがアオサギに対してどういう行動を採るかは、個体ごとに異なるということなのでしょう。

2004/06/15(Tue) 22:14      syojin      青鷺の天敵

青鷺のコロニーの巣を抱卵の時から5,6回見に行ってきました。その内2回カラスが青鷺の卵を食べているのを見ました。一回目は親鳥がいなくなった隙に巣から口に銜えて地面に置き穴を開け中身をすすっていました。2回目は親鳥がほんの5分位いなくなった時に巣に舞い降り、中の緑色の卵に素早く穴を開けすすっていました。2回のべ5時間位の間に2度も見たのですから、卵の内にかなりの数がカラスの餌になっているのでしょう。青鷺とカラスを見ているとカラスのりこうさが良くわかります。


2004/06/16(Wed) 20:46      まつ@管理人      Re: 青鷺の天敵

たしかにカラスの賢さは半端ではないですね。それだけに彼らの行動は見ていて飽きませんが、狙われるアオサギにとってはとても厄介な存在です。

カラスが巣から卵を持ち去るシーンは私も何度か目撃したことがあります。ただ、カラスはいつも卵をくわえたまま遠くへ飛び去ってしまうので、その後それをどのようにして食べるのかは知りませんでした。穴を開け中身をすすっていたのですね。

ところで、普通アオサギは卵をほったらかしにして巣を離れることはありません。そして、親が巣にいるかぎりカラスも手出しできません。ただ、そうは言っても何かの拍子に巣を離れてしまうことはあり、一瞬でもそうした隙があると抜け目のないカラスにまんまとやられてしまいます。

親が巣を離れるのにはいくつかの異なる状況が考えられます。ひとつは、親鳥が若い場合。年齢が絶対というわけではなく個体差が大きいと思いますが、若いほうが子育て中のトラブルは何かと多いようです。なぜ巣を離れてしまうのかは分かりません。経験が浅いと巣を離れるとどうなるかという予測ができないのかもしれませんし、落ち着いて巣にじっとしている忍耐力がないのかもしれません。

もうひとつは、捕食者を警戒して巣を離れる場合です。カラスも一応捕食者ですが、カラスはアオサギの親に危害を加えることは無いので、よほど執拗に付きまとわない限りアオサギは巣を離れません。問題なのはワシとかクマとかいった相手です。これらの動物に対しては巣にじっとしていると自分の身まで危うくなるのでアオサギも逃げざるを得ません。そのどさくさに紛れてカラスが卵を盗っていくのです。

捕食者というわけではないですが、アオサギの親が逃げるもうひとつの原因は人の不用意な接近です。クマやワシなどどこにでもいるわけではないですから、全体で考えると人が原因の被害のほうがむしろ多いかもしれません。

カラスによる卵の捕食がどのくらいの頻度で起こっているかについては、コロニーの規模や周りの環境にもよるので一概には言えません。ただ、コロニーが何らかの原因で攪乱されるのでない限り、普通にはカラスによる捕食はそれほど頻繁には起こらないと思います。具体的に言うのは難しいですが、100巣のコロニーを朝から晩まで観察していたとして、3日に一度起こるか起こらないかといったところではないでしょうか。

とはいえ、カラスは賢いですからね。何をするか分からない部分もあるので・・・。

2002/06/21(Fri) 20:35      まつ@管理人      オジロワシの襲撃

このサイトはアオサギについての雑学は多いのですが、図鑑に記されているような項目についてはほどんど書いてきませんでした。例えば大きさ。めったに近くで見ることがないためその大きさを実感する機会の少ないアオサギですが、実際は翼を広げると160cmにもなる国内では最大のサギなのです。

ところで、体が大きいということは、外敵に襲われる心配が少ないということでもあるわけで、これまでアオサギの天敵といえるような動物は少なくとも国内には特にいませんでした。しかし、数年前からアライグマがアオサギのコロニーを襲ったと思われる状況が各地で見られるようになり、もはやサギも絶対的な安全を得られる状況ではなくなってきました。ただ、今のところ地上性の外敵は木登りの得意なアライグマだけです。

一方、空から襲ってくる敵もいます。ハシブトガラスです。彼らは時としてサギの卵やヒナを襲うことがあり、所によっては毎日のように襲われているコロニーもあります。しかし、普通はアオサギの親が巣のそばを離れない限りカラスの襲撃が成功することはめったにありません。

これに対して、親がいるいないにかかわらず巣を襲ってくるのが今回テーマにしたオジロワシです。北海道で生息するワシは主にオジロワシとオオワシですが、このうちオオワシはアオサギが繁殖する頃には北へ渡ってしまいますからアオサギとの関わりはほとんどありません。問題となるのは年中いるオジロワシのほうです。オジロワシがアオサギを襲ったという話はこれまで何度か聞いたことがありました。また、自分で目撃したこともありました。しかし、それは滅多に起きない状況にたまたま遭遇したか、あるいは特定の地域だけで起きている特異な状況だろうと思っていたのです。ところが、最近そういう事態が頻繁に起こっているようなのです。

私の知る限り、アオサギがオジロワシに襲われたという報告は道北、道東で8件あります。場所によってはコロニーそのものが襲われることもありますし、餌場にいるサギが襲われることもあります。アオサギのコロニーは見ての通り開けっ広げで無防備なので、いったん襲われると相当なダメージを受けます。オジロワシではないのですが、ずっと前に音別のコロニーでオオワシの若鳥が抱卵期のアオサギの巣を襲うのを目撃したことがあります。ワシが来るとコロニー全体がパニックになり、巣に取り残された卵は遠慮なく食べ散らかされていきました。一つの巣を荒らし終わると隣の巣に移るという具合に次々と巣を変え、そのワシは少なくとも1時間以上にわたりコロニーに留まっていました。聞くところによると、その年はワシの餌となる魚が少なく異常行動が各地で見られたということで、音別のケースもそのような現象の一環だったのかもしれません。けれども、このような行動が一過性のものではなく、場所によってはかなり頻繁に見られる場合もあるようです。例えば音威子府のコロニー。ここのアオサギのコロニーはワシの巣の行動圏内にあるのですが、ワシの巣からは何個体分ものサギの骨が出てくることが報告されています。ところで、そのようなことがあるにもかかわらず、これらのコロニーは襲われても今のところ消滅することもなく営巣場所を移すこともありませんでした。一方、コムケ湖のコロニーのようにオジロワシの影響で40kmも離れた場所まで移動したと推測されるケースもあります。余談ですが、このケースでは移動先の雄武のコロニーでも、また別のオジロワシによってヒナが度々捕らえられていたようです。さて、そこまで遠くなくとも1km以内で比較的短距離の移動をする場合もあり、例えば厚岸コロニーは30年以上も同じ場所に留まっていたのですが、今年になって数百mの距離を隔てて3ヶ所に分裂してしまいました。これもやはりオジロワシの影響だと考えられます。この近くにはもともとオジロワシが営巣していたのですが、それまでコロニーには無関心だったワシがどういうわけかこの春になって突然襲うようになったということです。今年は釧路動物園のコロニーも例年になく頻繁に襲われているということで、このあたり、今年の春の到来が早かったことがサギやワシの繁殖時期に影響し、結果的にどこかバランスが崩れたのかもしれません。

アオサギが襲われるのは巣にいるヒナや卵だけとは限りません。目撃例は少ないものの餌場で襲われることもあります。ただし成鳥で1.5kgにもなるアオサギですから、仮にオジロワシがアオサギを捕らえるのに成功したとしても水際や自分の巣まで運ぶというのはかなり骨の折れる作業です。それゆえ採餌中のアオサギはオジロワシの捕食対象としてはそれほど魅力のあるものだとは思われません。実際、アオサギとオジロワシが餌場を共有している所でも、ワシを警戒してサギが飛び立つことはあっても、サギが襲われるということは非常に希にしかないようです。ただし、これも地域によって事情が異なるらしく、例えばクッチャロ湖のコロニーの場合など、巣立ったばかりの幼鳥がことごとくオジロワシに捕らえられ、結局その場所での営巣を完全に放棄してしまいました。

オジロワシによるアオサギの捕食行動が一般的なものであるのか、あるいは特異な状況化でのみ起こるものなのかについては今はまだ判断できません。オジロワシがいれば必ずアオサギを襲うのかといえばそんなことはなく、例えばむかし観察していた道東の標津コロニーでは毎日のようにオジロワシが上空を通過していたにもかかわらず一度もサギは襲われませんでした。おそらく、この種の捕食行動は固定化されたものではなく状況によって変化していくものなのでしょう。ただし、たまたまある状況下で生じた行動が時間をかけて可塑性のある習性として定着する可能性はあるはずです。アオサギの生息数は増える傾向にあり、昔と較べればそれだけ両者が遭遇する頻度も高まってきています。その分、捕食という行動がたまたま生じる頻度も増えるはずです。近い将来、オジロワシによるアオサギの捕食行動が常態化しないとも限りません。あまりそういった状況にはなって欲しくありませんが、実際はどうなってゆくのか、今後しばらくは目が離せない状況が続きそうです。


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