アオサギを議論するページ

日傘代わり

暑くなりましたね。すっかり初夏のような陽気です。札幌の最高気温も連日28度前後まで上がっています。

ところで、暑いのは人だけでなくアオサギも同じなようで、彼らもあれやこれやで暑さ対策をしています。水辺にいるアオサギが体を半ばまで水に浸したりしているのも体を冷やすのが目的です。そういう特殊な場合を除けば、アオサギの一般的な暑さ対策は口を開けて咽を震わせるというものです。それによって何がどうなるのかはよく知りませんが、体内を少しでも多くの外気に触れさせて体の中から冷やすということなのでしょう。

ところで、成鳥やあるていど大きなヒナの場合はそれで大丈夫なのですが、生後1週や2週程度の小さなヒナだとそういうわけにはいきません。彼らの体はまだ羽毛で覆われていないため自分で体温調節することができないのです。アオサギの場合、ヒナが小さなうちは親が付きっきりで巣にいますが、それは外敵からヒナを守るということの他にヒナの体温を調節するという意味もあるんですね。

で、どんなふうに暑さからヒナを守っているのかという写真がこれです。これは親鳥が巣の縁に立っているところです。この巣の中には2週目のヒナが4羽います。そのヒナを覆うように自分の翼を広げてヒナたちに陰をつくっているわけです。親鳥の心遣いで、巣の中のヒナたちも快適に眠っていることでしょう。ついでにこの親も目を閉じてまどろんでいますね。

そして、もっと暑くなると翼を団扇代わりにしてパタパタ、…ということはさすがにありません。


四兄弟の運命

皆さんのところのアオサギのヒナはもう大きくなったでしょうか? 2月頃から卵を温めているところだと、すでに巣立ちも終えているのではないかと思いますが、いかがでしょう?

ここ北海道のヒナたちは巣立ちにはまだほど遠く、親鳥が付きっきりという巣もまだけっこうあります。親鳥が巣を離れはじめるのは、ヒナの誕生後だいたい3週間ほど経ってから。写真の兄弟は大きいヒナでまだ2週半ぐらいですから親鳥もまだしっかり付き添っています。写真の左上に見えているのが親鳥の胸の飾羽ですね。

ところで、この4羽兄弟(1羽は手前のヒナの陰になっています)、ご覧のようにずいぶん大きさが違います。一般にアオサギは1日置きに卵を産むので、4卵の場合は最初の卵と最後の卵では1週間ほどの開きがあります。もっとも、親鳥は1卵目を産んだ後すぐに温めはじめるわけではないので、孵化する時期のズレは多少縮まります。けれども、成長の早いヒナのこと、わずか数日誕生日が違うだけで体格に歴然とした差ができてしまいます。

このぐらいの大きさの4羽兄弟だと、大きなヒナが1羽と、若干小さめのヒナが2羽、そして格段に小さなヒナが1羽という構成が多いようです。大きなヒナが2羽でやや小さめのヒナが1羽の場合もあります。でも、やはり最後の1羽はぐんと小さくなります。そして、こうなると小さな1羽は生きることがとても難しくなるのです。大きなヒナたちは大きな口と大きな体でますます多くの餌を食べ、小さなヒナはその残りを細々食べるしかありません。それでも餌が十分にあるうちはまだ良いのですが、少しでも餌が不足しはじめると大きなヒナは小さなヒナを執拗に虐待して餌を独り占めしてしまいます。こうなると小さなヒナが生き延びる余地はありません。残念なことに虐待されているヒナを親が助けることはありません。残酷な言い方をすれば、4羽目のヒナは親鳥にとって予備のようなものなのです。これは4羽兄弟に限ったことではなく、5羽の場合も3羽の場合も一番小さなヒナから順に犠牲になっていきます。いずれにしても早く生まれることが決定的に優位な世界なのです。 もちろん、このような悲劇はいつも起こるわけではなく、最初のサイズが違ってもだんだん追いつき、4羽、5羽と兄弟全員が元気に育つこともあります。写真のちょうどこのぐらいの大きさが一番危険なとき。もう一週間ぐらい我慢すれば4羽目が生き延びる可能性はぐんと上がると思います。なんとか親鳥にがんばってもらいたいものです。

さて、話は変わりますが、ふと思い立って「アオサギ写真集」を一新してみました。過去の記録を調べてみると、少なくとも6、7年は何も手を加えてなかったようです。新しいページは左のサイドバーの一番下からもリンクできるようにしています。よろしければご覧になってください。


魚泥棒

昨日の新聞にこんなのがありましたよ。
徳島新聞(2010年5月25日)「アオサギ、毎日“出勤” 小松島漁協の魚介目当て」

これはもうカラスやカモメと一緒ですね。本来、アオサギは生きている魚でないと食べないはずですが、もうそういう状況ではなくなっているようです。釣り人から魚をもらっているうちに陸に上がった魚に対する抵抗が無くなったのでしょうか。ともかく、アオサギと人との間の距離が着々と近づいているのは確かなようです。

そもそも、アオサギはこうあるべきとか、こうあって欲しいとかいうのは人間が勝手に思うことで、アオサギのほうに守らなければならない規定があるわけではありません。死んだ魚は食べないとか、人を警戒しなければならないとか、巣は木の上につくらなければならないとかいうのは、そうしたほうが上手くいく場合が多いというだけの話で、状況が変われば必ずしもそうである必要はありません。状況に合わせて自分たちの生活スタイルを柔軟に変えられるのがアオサギの真骨頂ですし、そんなアオサギだからこそ人類よりはるかに長い時間を生き長らえてきたとも言えます。

とはいえ、漁協の方にしてみればアオサギの環境適応力に感心していても仕方がないわけで…。今のところごく少数が来ているだけで片手間に追い払うていどで済んでいるようですが、他のアオサギが同じように学習して10羽、20羽と来るようになったらと思うと、ただ事では済まなくなるような気がします。そうなると、人にとってもアオサギにとっても不幸な事態になりかねません。現地周辺のアオサギの生息状況を調べて、飛来数が多くなる可能性がありそうなら、今のうちにもっと強硬な手段で追い出すとか、一時的に手間や時間はかかっても早めに手を打っておくのが賢明でしょう。

職員が持ち場を離れると素早く獲物に近づき、くちばしにくわえて飛び去っていく。職員がしかっても、また平然と舞い戻ってくる。

少なくとも、アオサギを叱っただけではどうにもならないと思います。


ページの先頭に戻る