アオサギを議論するページ

繁殖活動

繁殖活動

2010/05/03(Mon) 08:29      まつ@管理人      Re: アオサギの巣

ヒナが生まれはじめ、ヒナの声も小さく聞こえるようになった札幌周辺のアオサギコロニーですが、ヒナが生まれる一方でこれから巣づくりというペアもいます。北海道あたりでは、つがいにより営巣開始時期にひと月以上のズレがあります。そして、遅い時期に巣づくりを始めたペアには成鳥の羽になり切っていないアオサギがかなり多く混じっています。

写真はそんなつがいのひとつ。一応、ちゃんとしたつがいなのですが、まだ巣がありませんし、たまたま2羽が離れているのでペアのように見えないかもしれません。そして、何よりもペアらしく見えないのは左のアオサギが成鳥ではないという点。明らかに1年目の幼鳥のようです。

通常、アオサギは生まれた翌々年から繁殖に加わり、1年目で営巣することはまずありません。なので、これはかなり稀なケースです。ただ、生殖能力は1年目から具わっているので、繁殖が不可能というわけではありません。不可能ではないのですが、やはりヒナを育てる能力ということになるとまだまだ不完全なようです。実際、1年目でうまくヒナを巣立たせた例を私はまだ見たことがありませんし、おそらく成功したという報告も皆無なのではないかと思います。たぶん、経験のない幼鳥では抱卵や給餌そのものはある程度やれても、自分の餌を獲るのが精いっぱいで、ヒナの分まで面倒をみる余裕は無いのでしょう。

さて、このつがい、どこまでがんばれるでしょうか?

2010/04/23(Fri) 22:35      fujim      アオサギの巣

近所でアオサギの巣を見つけたのですが、アオサギのことなど何も知りませんでしたので、このサイトを参照させていただきました。

反り返ってるスタイルを写真に撮ったのですが、それが求愛ディスプレーなんでしょうか?
「くちばしと目の間の狭い部分が青紫色になっていることがある」というのは確かめることが出来たのですが、どちらがオスなのかメスなのかが今一つ分りません。2羽いた仲良しアオサギが今月中旬から1羽だけになっているのですが、巣に残っているのがオスということでしょうか?

ブログにアップしておりますので、もしお時間がありましたら、教えていただけると大変嬉しく思います。
ズブの素人の質問で申し訳ありません。

ブログ「余暇YOKA気分アオサギ愛の巣あの辺り


2010/04/24(Sat) 09:55      まつ@管理人      Re: アオサギの巣

ブログ拝見しました。長く観察されているとストーリーがあって楽しいですね。最後のほうはどうやら繁殖に失敗したようでしたが、もう一度やり直しそうな気配ですし、この先もまだまだ楽しみですね。

さて、求愛ディスプレイのご質問。これはfujimさんのご推察どおりで、くちばしを上に突き上げて反り返ったあのポーズが求愛ディスプレイです。左の写真のようなポーズですね。これが首を伸ばしきった状態で、このあとブログにある写真のように、首をだんだん背中側に反らせていきます。求愛時のディスプレイは、これ以外に首を前方や下方に突き出して伸び切ったところでくちばしをカポンと打ち鳴らすようなのもあります。ただ、こちらは求愛というより自分の巣の縄張りを主張する意味合いのほうが強いかもしれません。いずれにしても、もっとも分かりやすいのはこの背伸びするディスプレイですね。
これらのディスプレイは雌雄どちらにも見られます。ただし、雄の場合は独り身の時期から行う(まさに求愛ディスプレイ)のに対し、雌の場合は雄とつがいになってはじめて行うようです。なので、fujimさんのところで1羽でディスプレイを再開したアオサギは雄だと思いますよ。また相手が見つかるといいですね。

それと、雌雄の区別ですが、写真の2羽はちょっと判断できません。このようにつがいで並んでいれば、体の大きさや首回りの太さで分かる時はひと目で分かるのですが、違いといってもそれほど際立ったものではないので、少し大きい雌だったり小柄な雄だったりするとその違いを見つけるのはけっこう困難です。
それでも、行動を見ていればだいたい区別はできますよ。2羽一緒にいれば、相手に愛情を注ぐのに熱心なほうが雄、どちらかというと相手よりも巣に執着があるほうが雌です。これについてはいまだ例外を見たことがありません。じっくり行動観察ができれば、この基準でほぼ正確に雌雄を区別できます。

ところで、ブログのコメントを見ると、掲載されているお写真はご自宅の二階から撮られたとのこと。日常の中でアオサギの巣の様子が観察できてしまうとは、なかなか得難い素晴らしい環境だと思います。しかも巣の中を上方から見られるようですし。これなら卵や小さなヒナまではっきり見られそうですね。


2010/04/24(Sat) 19:23      fujim      Re: アオサギの巣

さっそく詳しいお返事をありがとうございます。
見ていてとても仲がよかったので、ついつい気になって観察していたのですが、やはり繁殖には失敗したのですね。これからでもやり直しがきくのでしたら楽しみです。
2階に上がってみるだけですので観察してみようと思います。が、手前にある木々の葉が茂ってきてるのが、少し心配ではありますが・・・。

愛情表現も、私も見習いたいほど^^だったのですが、繁殖に失敗したからといって、次の日からすぐに新しい相手を探すのではなくて、2週間ばかり間をあけて新しい行為に移っていってくれたことで、なんだかホッとするものがあります。きっと人間にも劣らぬ^^感情があるのでしょうね。

雄雌の行動は、片方が小まめで、もう片方がものぐさだなァと思って見ていたのですが、1羽になるとどちらもあまりゴソゴソしなくなるので、さて今巣に残ってるのがドッチだったか? といつも分らなくなるんですよ。今度また2羽になりましたらもっとよく観察してみようと思います。


2010/04/24(Sat) 21:21      まつ@管理人      Re: アオサギの巣

アオサギのように外見で雌雄の分かりにくい鳥はちょっと損だなと思うことはあります。雌雄を見分けられれば、それまで漠然と見ていた彼らの行動がひとつひとつ意味をもって見えるようになるのではないかと思うのです。そうなれば、アオサギに親しみを感じる人がもっと増えるのではないかと。

それにしても、観察するのが「2階に上がってみるだけ」というのが何とも羨ましいです。


2010/06/24(Thu) 07:24      fujim      相手は見付かったのですが

今度こそアオサギ誕生の様子が見られるかと見張っていたのですが、とうとうその姿は見ることはできませんでした。
交尾だろうと思える様子は、三度ばかり目にしましたのに残念です。しかたなく、その交尾と思える様子だけをブログに載せました。
2日間ぐらい巣が空になって、次にまた姿を見せるアオサギが、前と同じなのかどうかはなかなか見分けることは出来ませんね。


2010/06/24(Thu) 19:31      まつ@管理人      Re: 相手は見付かったのですが

それは残念でした。ブログの写真を拝見すると、ペアの片方は前頭部に灰色が残っており、おそらく3年目ぐらいの若いアオサギではないかと思います。たぶん若いほうが雌なのでしょうけど、繁殖を成功させるにはまだ少し若すぎたのかもしれませんね。来年は今年の経験を糧に上手くやってくれると思いますよ。

2010/04/21(Wed) 10:01      まつ@管理人      なぜ早く営巣を始めるのか?

もうずいぶん前からこのことが気になっています。そもそもは、札幌周辺で越冬個体が見られはじめ、なぜ敢えて条件の悪いところで冬を越さなければならないのだろうと不思議に思ったのが最初です。もっとも、人の目には過酷に映っても、サギたちは意外と十分に餌を獲っているのかもしれません。それならわざわざ苦労して渡りをしなくてもいいのではないかと。あるいは、渡る元気もない個体が仕方なく留まっているということも考えられます。これはこれで謎なのですが、今回はその話ではなく、営巣の開始時期が違うことによって彼らにどんな利益不利益があるかという話。つまり、越冬個体は早い時期に繁殖を始めることで何か得があるから越冬するのではないかということです。過酷な条件で冬を過ごしても、早く繁殖活動を始めることによるメリットが冬のリスクを上回るのであれば渡らないという選択肢も納得できます。

さて、ここからが本題。サギたちは早く営巣を開始することでどのような利益を得るのでしょうか? このことを考える上でまず頭に入れておきたいのは彼らの繁殖形態についてです。アオサギの繁殖の特徴は何といっても集団繁殖を行うという点。ひとつがいだけで単独に営巣する鳥類とは異なり、営巣活動のひとつひとつが何らかの形でつがい以外の個体からの影響を受けることになります。その影響は個々のつがいにとって良いほうに働くこともあれば悪いほうに働くこともあります。コロニーが成り立っているということを考えれば、全体としては悪い影響より良い影響のほうが上回っているということだと思いますが、個々のつがいを見れば、集団繁殖から受けるメリット、デメリットの程度はまちまちです。そして、その程度の差を決定的にするのが繁殖開始時期の違いだと思うのです。

ということで、最初に戻って、早いと何が得なのかという話です。これについては考えられることがいくつかあります。まず、早くコロニーに飛来すれば巣をつくる場所は選り取り見取りです。早ければ早いほど自分の好きな場所に巣をかけられるわけです。巣の位置というのは意外と重要で、やはり見晴らしの良いところのほうが好まれます。見晴らしと言っても、周辺の景色がよく見えるというのではなく、それも重要ですが、コロニー全体の状況がよく分かる位置にあることのほうがより重要なようです。そのため、巣はコロニーの真ん中のほうから埋まっていくのが普通です。

コロニー全体の状況を見張らせる場所が便利な理由はコロニーの本質に関わる問題なのでまた改めて書きますが、もっと狭い範囲の巣の位置関係が問題になってくることもあります。お隣さん同士の関係では他より低い位置にある巣はどうも分が悪いようです。たとえば、アオサギの場合、強制交尾がときどき見られますが、これはたいてい近場にいる個体間で行われます。このとき、強制交尾をしかける雄の巣は相手の巣より高い位置にあるのが普通です。雄のほうにしてみれば、相手の巣の状況を事前に十分確認できるという利点があるのでしょう。逆の位置関係ではこうはなりません。結果的に、低いところに巣をつくったペアは繁殖の目的を十分に達っせられなくなってしまうのです。雌の場合はいずれにしても自分の遺伝子を残せるのでまだいいのですが、雄は生まれたヒナが自分の子かどうか分かりません。こうした後々のデメリットを避けるためには、やはり早くコロニーに入って有利な場所が選ぶことが重要なのです。

巣に関してはもうひとつ問題があります。アオサギの巣は小枝でつくられているので、冬のあいだに巣が壊れていればつくり直さなければなりません。また、大幅に壊れていなくても全く修繕しないということはないでしょう。多かれ少なかれどこかから枝をとってきて巣をリフォームする必要があります。また、古巣があれば必ずそれを使うかというとそういうわけではなく、誰も使っていない古巣があるのにわざわざすぐ横に一から作りはじめる場合もよくあります。そこで問題になるのが巣材の調達です。この場合も、早くコロニーに来たほうが巣材をふんだんに獲得できて有利なのです。とくに雪国の場合は、営巣の初期は地面はまだ雪に覆われていますから、地上に落ちている小枝を拾うわけにはいきません。巣材はもっぱら古巣から引き抜いてくることになります。早い時期にはまだ多くの古巣が残っているのでいくらでも小枝を得ることができます。ところが、遅く来たサギたちには残念ながらこの恩恵はありません。古巣も軒並み埋まってしまい、簡単に得られる巣材はもうありません。地上もまだ一面雪で覆われて…、ということになればこれはもう悲惨ですが、さすがにその頃には雪も解け、地面に降りれば小枝を探すことはできます。ただ、近くの古巣から簡単に集められる巣材に比べれば労力が要るのは事実。それに、自分の巣を空けて遠くまで時間をかけて探しに出るわけですから、その間にペアの雌が上で書いたような不届き者に襲われる恐れも出てきます。そんなことで、遅く来ると何かにつけ悪いことばかりなのです。

とはいえ、これはまだまだ営巣の初期段階に限った話。早い者と遅い者の違いはこれだけではありません。ヒナが生まれた後もその影響は続いていきます。その話はまた別の機会に。

2008/09/02(Tue) 19:41      まつ@管理人      最後の3羽

写真は北海道江別市のコロニーで6月上旬に生まれた3羽のヒナです。この写真を撮ったのは8月2日で、この6日後には1羽が時折巣に戻るだけになっていました。よほどのことがない限り、ここまで成長したヒナを親が見捨てることはないので、たぶん他の2羽のヒナも無事巣立ったものと思います。


2008/09/02(Tue) 20:42      まつ@管理人      Re: 最後の3羽

ところで、このヒナたちが生まれたのは6月上旬のこと。北海道では、山間部を除けば繁殖を成功させるためにはこのくらいが時期的にはぎりぎりです。これ以降でも親は卵を産みますしヒナも生まれますが、周りのヒナたちが次々に巣立ってコロニーが淋しくなるにつれ、遅く繁殖を始めたところはことごとく失敗するのが常です。

遅いとなぜ失敗するのかはよく分かりません。もしかすると、親がこの時期にこの成長段階では間に合わないと見切りをつけるのかもしれません。この時期のヒナはまだ小さいので、子育てを行うには巣にいてヒナを保護する親と餌を採りにいく親の両方が揃っている必要があります。つまり、両親のうち片方でも諦めるとそこで終わりということになります。

では、仮に親が自発的に子育てを放棄するのだとして、何が彼らにもうダメだという気を起こさせるのでしょう? そもそも自発的な放棄かどうかも分からないので、推測の上に推測を重ねることになりますが、私はコロニーの雰囲気が変わることが原因ではないかと思っています。日に日に周りの巣のヒナたちが巣立ってゆきコロニーの雰囲気が淋しくなる、その変化を親鳥が感じとって、もうこの時期では無理だと判断するのではないかと思うのです。

「コロニーの雰囲気」というのは漠然としすぎていてあまり説得力がないかもしれません。けれども、私はこれはアオサギの集団繁殖の本質を考える上でひとつのキーワードだと思っています。個々のアオサギがいま何をすべきかを判断するとき、コロニーの雰囲気はその重要な判断材料のひとつになっていると思うのです。

おそらく、アオサギを集団から隔離すればいろいろなところで支障をきたすようになるはずです。生きること自体にはそれほど影響はないと思いますが、たとえば効率よく餌が獲れなくなったり、営巣はしても育てられるヒナの数が少なくなったりということは十分考えられます。何につけ効率が悪くなったり生産性が落ちたりするわけです。

ところで、たまにひとつがいだけで営巣しているアオサギがいますね。彼らはよほど自分たちの判断力に自信のある経験を積んだ個体なのでしょう。あるいは単に社会性のない変わり者なのかもしれませんが。


2008/09/02(Tue) 21:48      まつ@管理人      Re: 最後の3羽

遅いとなぜ繁殖に失敗するのかについてもうひとつ別の原因を考えてみます。親が自発的に子育てを諦めるのではなく、諦めざるを得なくなるような状況。つまり、ヒナに十分な餌を与えることができなくてヒナが餓死する場合です。ただ、この時期、他の巣では大きなヒナを育てているところもあるわけですから、餌が全然獲れないということはないはず。仮に採れる餌の量が時期的に少なくなったとしても、全てのヒナが餓死するほど少ないというのはちょっと考えられません。3羽が無理なら2羽、2羽が無理なら1羽というように、その時の餌量に見合ったヒナ数が生き残っても良さそうなものです。けれども、実際は遅く繁殖を始めたところは1羽も残らないのが普通です。
こう考えると、上で書いたように親が自発的に放棄すると考えたほうが合っているような気がします。

余談ですが、小さなヒナは大きなヒナに比べて少量の餌で間に合うかというと必ずしもそうではありません。ヒナの食物摂取量が最大になるのは生後17日目(Heinroth 1967)という報告もあるくらいで、体の大きさと食べる量は比例しないのです。ちなみに、Heinrothによると、生後17日目の食物摂取量は330gだそうです。その頃の体重はおよそ800g程度ですから、体重の4割以上もの餌を食べているわけですね。

2008/06/29(Sun) 08:22      ダイナママ      無題

先日遅くにカップルになった青鷺のことを書きましたが、今はカップル解消? 2羽居た青鷺は巣には居ません・・・ところがこの巣に他で、巣を作ってある青さぎが舞い降りてきて巣に組まれてる枝を1ぽんずつ抜き取り自分の巣へ持ち帰り口渡しで巣をお留守番してる方に渡したのを見ました。面白いですね。リサイクル??
愛知の方では巣に居る雛はやはり2、3羽が多いです
5羽というのは見たこと無いです。しかし、巣立ち間際でもまだ、巣を大きくしていくんですね、以前、まつさんが1メートルを超える巣があり、何年も使うって教えて下さいましたことを思い出し、ず~とそこに巣を作ると思うと楽しみになります。


2008/06/29(Sun) 22:06      まつ@管理人      Re: 無題

時期が遅くなると、いったん繁殖を始めてもしばらくすると止めてしまう場合がどうしても多くなるようです。他の巣に親やヒナがたくさんいる時期ならまだ安心できるのでしょうけど、周囲の賑わいが日ごとに薄れていくこの時期になると、腰を落ち着けてこれからという気持ちにはなかなかなれないのでしょうね。
ただ、小鳥の場合だと寿命が1年や2年しかないので、今年の繁殖に失敗すれば子孫を残すことは諦めざるを得ないという種も多いですが、アオサギの場合は小鳥に比べればずっと長く生きていますから、今年ダメならまた来年という気楽さは多少あるかと思います。まあ、これは私の勝手な想像というかこじつけですが。

巣材泥棒、これはよくありますよ。ただ、巣材を引き抜いてくる巣に持ち主がいないとなれば、これは泥棒ではなく立派なリサイクルですね。

2008/05/13(Tue) 14:41      ダイナママ      ママはだあれ?

最近のアオサギの巣は子供達ばかりでお留守番が多くなってる様に見えます。なぜか?巣が空に見えるときもあります。(角度によると思いますが)
今日は立派なママアオサギが他の巣から空に見える巣に飛び移ったらアオサギの子供がジタパタと巣の中に見えました。うれしそうにもみえました。???よその子を見に行く??こともあるんですか???┓(´_`)┏
そして、よそのアオサギママはまた、パタパタ飛んで自分の巣に戻りました。と思えるんですが…
最近そこのママたちが巣にいるところを見たことがないんです


2008/05/13(Tue) 22:44      まつ@管理人      Re: ママはだあれ?

ヒナたちだけで留守番、そういう時期になってきたのですね。アオサギの場合、ヒナがあるていど大きくなると、ヒナを巣に残して親がいなくなるのが普通です。時期でいうと、ヒナが生まれて3週間くらいでしょうか。初めのうち親はいなくなってもすぐに戻ってきますが、やがて留守の時間がだんだん増えてきて、しまいには餌を与える時しか戻ってこなくなります。ヒナが小さなうちは、ヒナは自分で体温調節ができず、またカラスなどの外敵に襲われる心配があるので親は四六時中つきっきりです。ところが、3週間もたつと、ヒナは放っておいても体が冷え切ることもなくなり、少々のカラスの攻撃なら太刀打ちできるようになります。親は安心して巣を離れられるというわけです。それに、この頃にはヒナの食欲がますます旺盛になるため、どちらか片方の親だけが餌を探しに行っていたのではヒナの食欲を満たすことができなくなるのでしょう。

よその子を見に行くことがあるのかというご質問。これは普通はないですね。例外として何かの拍子にあるいは何かの事情があってそのようなことが起こることはありますが一般的なことではありません。ただ、自分で子育てをしていないアオサギ(たいていは前年生まれの若いアオサギ)が、物珍しそうにヒナの様子を伺ったり巣をのぞき込んでいたりすることはあります。

それからそれから、これ皆さんけっこう勘違いされている方が多いのですが、卵やヒナを抱いているアオサギは全てが母親というわけではありません。母親のときもあれば父親のときもあります。鳥によっては、雌がいつも巣にいて、雄が雌に餌を運んでくるというのもいますが、アオサギの子育ては雌雄共同。自分の餌は自分で獲る、餌を探しに行ってないほうが卵やヒナの面倒を見る、という実にシンプルなやり方なのです。

2008/03/30(Sun) 23:59      まつ@管理人      間違い探し

一見、ありきたりの巣作りの光景。でも、ようく見るとどこか変です。写真をクリックして拡大すると、変なところが見えてくるかもしれません。

どうでしょう? 分かりましたか? じつはこのアオサギ夫婦、カラスの巣を借用しているのです。その証拠に、巣の下の方にいくつものハンガーが使われています。いくらアオサギでも、さすがにハンガーは持って来ませんから。

この巣はアオサギコロニーから十数メートル離れたところにあって、巣のある場所といい巣の佇まいといい、実物を見ればアオサギの巣でないことはすぐに分かります。この巣がカラスに使われていたのは、たしか昨年と一昨年。しっかり作られているようで、雪の重みにも耐え、冬を越してもほとんど壊れていませんでした。アオサギにすれば巣を一からつくる手間が省けるので大助かりです。ただ、カラスの巣はアオサギの巣と違って幹近くの低い所にありますから、図体の大きいアオサギが出入りするのはとても不自由。なので、巣そのものが手頃であってもまず利用しないだろうと思っていたのですが。

アオサギに盗られなければ、今年もカラスが営巣していたはずのこの巣。去年住んでいたカラスが帰ってきたとき、カラスはこの光景を見てどう反応するのでしょうね。

2008/02/07(Thu) 12:19      奈津子      無題

今朝、ベランダで洗濯物を干していると、その50m先の巣の上空でアオサギが2羽グルグル飛び回っていました。それが‘求愛ディスプレイ’でしょうか。


2008/02/08(Fri) 00:04      まつ@管理人      Re: 無題

コロニー上空での追いかけっこ、これはつがい形成期によく見られる行動です。ディスプレイとは言いませんが求愛行動のひとつです。もし首を伸ばしたまま飛んでいたとすれば、この行動である可能性が高いですよ。
求愛ディスプレイは何種類もあるのですが、最も目立つのはたぶん左の絵のディスプレイだと思います。これは”The Herons of Europe”(Claire Voisin, 1991)に載っていた図で、左上→右上→右下の順で進行します。左下は左上のを正面から見た図です。くちばしと首を一直線に上方に伸ばした状態から、上を向いたままで頭を背中側にゆっくり反らしていきます。実際に見るとストレッチをしているような感じで、英語ではそのままストレッチディスプレイと呼ばれています。

それにしても、もうそんな時期なんですね。

2008/02/06(Wed) 16:23      ダイナママ      無題

カップルになるとまずは巣を作り始めるのでしょうか?


2008/02/06(Wed) 22:13      まつ@管理人      Re: 無題

カップルになるとまず巣をつくるのか、というご質問。これはその通りです。アオサギは毎年、コロニーに来た後でつがいをつくります。なので、春先のコロニーでまず最初にしなければならないのは相手を見つけることです。まず雄が巣を作りたい場所(古巣がある場合は巣の上)に陣取って、そこで雌に求愛ディスプレイをします(このディスプレイ、よく見ていると何通りもパターンがありますよ)。そして、雌は気に入った雄を選ぶわけです。しかし、実際のところ、雌が惹かれているのが雄そのものなのか雄の選んだ場所なのかは謎ですが。

巣は雄と雌で一緒につくります。役割は分かれていて、雄はもっぱら巣材を運び、雌は巣にいて巣を組み立てます。もっとも、こうしなければならないという決まったものはないので、この逆のこともしばしばあります。ですが、たいていはこのパターンです。普段は雌雄の区別がつかないアオサギも、この時期なら注意すれば何とか見分けられますよ。ようく見ていると、雄と雌で気質?に違いがあるのが分かったりもします。

2006/05/10(Wed) 15:46      よしよし      写真について

アオサギの巣を見つけてから毎日のように通っています。
ある日連続シャッターで撮ったのを現像してみたら添付の写真が撮れていました。
交尾の瞬間ではないかと思うのですが、どうでしょうか?
教えてください。
三重県伊勢市での撮影です。


2006/05/10(Wed) 21:48      まつ@管理人      Re: 写真について

交尾の瞬間ではないですが、その直後の写真とお見受けします。アオサギは雄が雌の背中に乗っかって交尾します。当然、脚で乗るので不安定なことこの上なく(時々ずっこけます)、バランスを取るために雌の首をくちばしで挟むのが普通です。


2006/05/11(Thu) 18:46      エゾミユビゲラ      Re: 写真について

交尾の様子はこのような状態です。バランスをとるために、頸や冠羽をくわえたりします。

2006/03/26(Sun) 18:04      七色広美      青鷺の巣作り

近くの神社の高い木の茂みにどうやら青鷺が住んでいるようです。巣作りをしているというのは、ヒナが生まれるからだと思いますが、青鷺の子作りは今頃ですか?
ご存じなら教えて頂けませんか?


2006/03/27(Mon) 22:42      まつ@管理人      Re: 青鷺の巣作り

アオサギのヒナが生まれるのは、大雑把に言って日本では4月から5月というところでしょうか。もう少し先のことですね。私の住んでいる北海道では、今ようやく巣作りが始まったところで、卵を産むのが4月初め、そしてヒナの誕生はゴールデンウィーク頃になります。七色さんがアオサギの巣材運びを見られたのが3月11日ということで、少なくとも北海道のサギたちよりは早いわけですから、そちらでは4月の中頃にはヒナの声が聞こえるかもしれませんね。

2005/01/20(Thu) 00:15      まつ@管理人      繁殖の開始とエサの量の関係

繁殖の開始とエサの量の関係についての面白い報告があります。
カナダでオオアオサギを調べているButlerさんによれば、オオアオサギの雌は一日あたりのエネルギー摂取量が1,715kJを超えると、それから約9日後に卵を産み始めるそうです。
そこで、1,715kJというのがどのくらいのエサ量になるのかちょっと計算してみました。例えがあまり一般的ではないかもしれませんが、体長12cm(アオサギのくちばしサイズ)のオクカジカで約15尾分になります。ただしこれはオオアオサギの場合なので、彼らより30cmも背の低いアオサギだともっと少なくて済みそうです。もっとも、オオアオサギの話がアオサギにも当てはまると仮定してのことですが。
せっかくなので、アオサギの場合を体重の違いを考慮して計算してみます。大雑把にオオアオサギの体重を2.3kg、アオサギを1.5kgと考えて、アオサギはオオアオサギの約3分の2の重さです。ということは、アオサギの場合、一日に10尾程度食べられれば繁殖へのゴーサインが出るのかもしれません。同じオクカジカでも26.5cmの大物であれば1尾で一日分クリアです。

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