アオサギを議論するページ

アオサギとヒグマ

アオサギとヒグマ

2003/08/03(Sun) 18:58      まつ@管理人      熊出没注意

クマとサギの関係って、皆さん考えたことがあるでしょうか? 私は情けないことに、北海道に住んでいながら全く意識したことがありませんでした。

クマとサギの間にこれこれの食物連鎖があってとか、何だかを媒介してとか、そういうややこしいことではありません。クマがサギを食べるのです。北海道のヒグマはエゾシカでも食べますから、サギを食べること自体は驚きではありません。しかし、サギとクマが遭遇することは普通は無いので、滅多なことでは襲われないのです。ただ、樹上で子育てしているところをクマに登ってこられたら、飛べないヒナはひとたまりもありません。

実際、夕張のコロニーでまさにそのようなことが起こったのです。夕張については、少し下の書き込みでコロニーが2回移動したことを書きました。その際、最初の場所(遠幌)から次の場所(若美町)に移動した原因をアライグマに襲われたのではないかと書きましたが、これは全く私の勘違いでした。訂正してお詫びします。確かに、その辺りでアライグマがよく出没しているのも事実なのですが、この場合はヒグマが襲っている場面が何度も目撃されていますので、ヒグマがコロニー放棄の原因とみて間違いないでしょう。

問題のコロニーは、ダム湖に面した急斜面上にあり、数本の木に数十の巣がかけられていました。クマの襲撃を目撃した地元の方の話では、ある時は4頭ものクマがほとんど一緒に現れたそうです。クマたちは、ミズナラの木を攀じ登り、巣立ち前のヒナを捕まえると、地上にいったん下りて食べていたということです。そして食べ終わると、再び上りまたヒナを捕まえて下りてきて食べる、と何度も繰り返したと言います。途中の枝が邪魔で巣まで登れなかったクマは、下りてきたあと幹をゆっさゆっさ揺らしてヒナを落とそうとしていたとか。また、木に登っているクマが、飛んでいるサギを手で叩き落とすこともあったそうです。

それでも生き残ったヒナたちはなんとか巣立ったようですが、翌年ここに戻ってくるサギは一羽もいませんでした。当然ですよね。そしてこの年、サギたちはコロニーの場所を民家の裏山へ移動しました。人の気配のする場所のほうがクマが寄りつかないことを知っているからでしょう。このサギたちは、今年ふたたびコロニーを放棄しましたが、今度移ってきた場所は、より大きな町の団地のすぐ横です。ますます人の庇護を必要としているということでしょうか。

そもそもアオサギは、昔から北海道に多くいたわけではありません。ここ20年くらいで急に増えて、あちこちでコロニーができたり消えたりしています。消滅したコロニーの中には、クマに襲われて放棄した所も結構あるのかもしれません。北海道では、新たなコロニーができる時、以前の場所より必ず人気(ひとけ)の多い所が選ばれています。この事実の裏に捕食者の影が色濃く感じられないでしょうか。いま北海道のアオサギたちは、安心して子育てのできる場所を探して試行錯誤している段階と言えるのかもしれません。

だから、「野生で生きるものは、たっぷり自然のある森の奥で生活していれば良いじゃないか。町には出てくるな。」などと、冷たいことを言わないで下さいね。


2003/08/04(Mon) 09:43      ねこ      Re: 熊出没注意

先週、仕事で夕張市内を訪問するついでに聞き込み(?)をしてまいりました。夕張の遠幌町コロニーの件は、松長様の書き込みの通り、ヒグマが襲ったということでした。ヒグマの子供も果敢にチャレンジしていたらしいです。若美町コロニー放棄の原因はまだこれといった情報がありません。

鹿ノ谷コロニーは、今朝山の斜面に40羽ほどいましたので、皆さんお元気のようです。しかし、つい最近山の裏側の道路でコグマが目撃されていますので、またもや「おいしそうなアオサギ」と思われているかも知れませんね。

山の鹿ノ谷側には、住宅がほとんど取り壊されて数年前からアオサギがよく川に来ていたポイントがあるのですが、クマが怖くて見に行けません(^^;)以前住んでいたあたりなので行ってみたいのですが・・・


2003/08/10(Sun) 01:53      まつ@管理人      Re: 熊出没注意

ヒグマの話ですが、コロニーを襲ったクマの中に子熊もいたということは私も聞きました。一方、「タタミ一畳分」の背中を持つ大きなクマもいたということです。親子らしいのもいたし、そうでないのもいたということで。いずれにしても、悪しき習慣?が代々受け継がれないことを願いたいものです。(もしかすると、サギを食べることを最初に覚えたのは、好奇心旺盛な子熊だったのかもしれませんが…。)

ところで、今年できた鹿の谷のコロニーは、それまでの二つのコロニーとは林の植生が異なっています。以前のコロニーは両方とも広葉樹が主な営巣木だったのですが、鹿の谷の場合はカラマツです。私もクマの話を聞くまではこの点についてあまり注意を払いませんでした。しかし今考えてみると、サギたちが針葉樹のカラマツに巣をかけたのは、クマが登ってくるのを防ぐためかもしれないと思うのです。針葉樹は幹がまっすぐな上に幹の周りに枝が多いので、クマにとっては登りにくいでしょうから。実際、遠幌コロニーでトドマツの巣を襲おうとしたクマは、枝が邪魔で登るのを諦めていますしね。

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