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アオサギのプロフィール

アオサギのプロフィール

アオサギの名前

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101アオサギの名前   学名は Ardea cinerea で灰色のサギという意味です。英名は Grey Heron。こちらも灰色のサギです。国別では灰色のサギと呼んでいる国が圧倒的に多く、青いサギと呼んでいるのは、日本以外ではオランダなどごく僅かしかありません。昔の日本では白でも黒でもない中間的な淡い色を青と称していたため、灰色のサギが「アオ」サギと呼ばれたのは自然なことだったのです。アオサギという呼び名は古く、奈良時代にはすでに使われていました。当時はミトサギという別の呼び名もあったのですが、両方の名前が明治時代まで併存したのちアオサギのほうだけが残りました。

アオサギの形態

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102アオサギの形態   全長は90-98cmで日本で繁殖するサギ類の中では最大です。ただし、国内で繁殖するダイサギよりは大きいものの、大陸から越冬に渡ってくるダイサギに比べると同大かやや小さめです。翼開長は175-195cmで、大人が両腕を広げたよりもさらに大きくなります。体重は平均1.5kg(1,020-2,073g)と、見かけにくらべかなり軽めです。首と脚が長く、飛ぶときには首をS字状に折り畳みます。リラックスしているときは首を縮めた姿勢で佇み、水辺で餌を探すときや警戒したときには首をぴんと伸ばします。雌雄は同じ姿形で、野外で性別を見分けるのは困難です。ただ、どちらかというと雄のほうが頭や首にがっちりした感じがあり、つがいで並んでいると雄のほうがやや大きく見えることがあります。繁殖期には、冠羽をはじめ胸や背中の繁殖羽が顕著に現れます。また、繁殖初期には露出部が婚姻色に染まり、普段は黄色の嘴や脚、虹彩がオレンジや朱色に変化します。幼鳥は全体的に灰色っぽく白黒のコントラストがほとんどありません。なお、幼鳥が翌春まで生き延びる確率は約半分と言われています。一方、成鳥になると死亡率は低くなり、37歳と6ヶ月という長寿記録もあります。アオサギの声はこちらのページでお聞きいただけます。

アオサギの生息域分布

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103アオサギの生息域分布   ツンドラや砂漠地帯を除くユーラシア、アフリカ大陸のほぼ全域に分布しています。南北アメリカ大陸やオーストラリアには生息していません。高緯度地域で繁殖するアオサギは渡りを行い、冬の間は低緯度地域で越冬します。日本では全国に生息し、沖縄などを除いてほぼ全土で繁殖しています。日本の多くの地域では留鳥ですが、北海道など北の地域のアオサギは冬の間は低緯度地域に移動します。なお、日本で繁殖したアオサギの渡りルートについてはほとんど分かっていません。全世界のアオサギの個体数は不明ですが、ヨーロッパでは約50万つがいが繁殖していると推定されています。また、北海道でのつがい数は約5,000と見積もられています。

アオサギの繁殖生態

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104アオサギの繁殖生態   多くの場合、アオサギは数十から数百のつがいが一ヶ所に集まって繁殖を行います。こうした営巣場所(コロニー)は樹林につくられるのが一般的ですが、樹林の無いところや特殊な条件下ではヨシ原や水上の構造物に営巣することもあります。樹林にある一般的なコロニーでは、樹冠部に小枝を使った直径80cmほどの皿形の巣がかけられます。アオサギは一夫一妻制で、毎年同じつがいで同じ巣を使うことが多いようです。子育ては雌雄共同で行います。北海道の場合、巣作りがはじまるのは3月下旬からで、早いつがいは3月末には産卵期に入り、一日おきに3卵から5卵を産みます。その後、ゴールデンウィーク頃にヒナが誕生、5月、6月にかけて育雛し、6月の下旬には巣立ちを迎えます。各繁殖ステージの一般的な長さは、巣作り・つがい形成期が約1週間、抱卵期が約26日、育雛期が約ふた月です。孵化後約50日で飛べるようになりますが、その後しばらくは親の運んでくる餌に頼ります。営巣期間中に親が運ぶ餌の量は、4羽のヒナがいる巣で100kgを超えるとの見積もりがあります。無事に巣立ちを迎えるヒナは、北海道の場合、一巣平均約3羽です。なお、営巣の開始時期はつがいによりひと月ほどの差があるため、巣立ち時期も同様にひと月ていどばらつきます。また、緯度が低い地方のほうが繁殖の開始時期が早く、繁殖期間も長くなる傾向があります。アオサギの営巣活動についてはこちらのページに動画で紹介しています。

アオサギの採餌生態

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105アオサギの採餌生態   アオサギは魚を主な餌としており、川の浅瀬や干潟、水田といった水深の浅い水域で採餌します。餌場の範囲は広く、コロニーから餌場までの距離が30km以上離れていることも珍しくありません。餌になる魚は、ウグイやドジョウなどの淡水魚から、カジカ、カレイといった海水魚まで種類は問いません。くちばしサイズの大きさの魚をよく捕らえますが、30cm大の魚でも丸飲みします。また、餌は魚だけでなく、エビやカニなどの甲殻類、バッタやトンボなどの昆虫類、カエルやヘビなどさまざまです。場合によってはネズミや水鳥のヒナを捕らえることもあります。基本的に死んだ餌は食べません。なお、アオサギの成鳥が必要とする餌の量は一日あたり約270gと見積もられています。アオサギは基本的に昼行性で、採餌活動は早朝と夕方に活発になります。ただし、夜間に活動できないわけではなく、ヒナの成長期にはコロニーと餌場を昼夜兼行で頻繁に行き来します。

アオサギと人との関係

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106アオサギと人との関係   国内のアオサギは、ここ数十年来、生息域が拡大し個体数も増える傾向にありました。これに伴い、アオサギと人が間近に遭遇する機会が増え、最近では釣り人から魚をもらう人馴れしたアオサギも現れています。このため、以前にくらべアオサギに親しみを感じる人は増えているようです。しかし、一方では人とアオサギのトラブルも目立つようになりました。中でも大きな問題となるのは、河川や養魚場での魚の食害と水田での稲の踏みつけ被害です。また、コロニーが民家に隣接しているところでは、フンや鳴き声に対する苦情もあります。こうした被害に対してはアオサギを駆除するなど直接的な対応がとられることが少なくありません。しかし、現在行われている駆除のほとんどは場当たり的で計画性がなく、アオサギの命を無駄にするばかりで問題の解決からはほど遠いのが現状です。

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