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京都新聞
廬山寺 アオサギ営巣の枝伐採 墓地ふん害や鳴き声騒音で苦情

卵の移動 府に未申請だが… 寺側「苦渋の判断」上京

伐採された木。下の墓地を覆うように伸びた枝には20以上の巣があったという(京都市上京区・廬山寺)

京都市上京区の廬山寺境内で4月上旬、アオサギの巣があった木の枝が伐採されたと、京都新聞の双方向型報道「読者に応える」に複数の投稿があった。木の下には墓地や民間駐車場などがあり、ふん害と鳴き声の騒音を防ぐため寺が府に相談した上での伐採だったが、京都府への事前申請が必要な産卵後の巣も一部、業者が地面に降ろしていた。

アオサギは育児が終わると巣から離れるが翌春に戻り、巣の数を次々増やしていく。寺によると2020年ごろから営巣が始まり、最初数個だった巣は増え続け、伐採前は20以上の空の巣が樹上に残っていたという。

今年も2月末ごろから飛来するようになり、寺は府と業者に相談。巣に卵やひながいなければ申請不要で撤去できるため、府の担当者は巣には卵がないと思い伐採を止めなかった。だが、業者が作業した4月8日には一部の巣に卵があったという。アオサギをはじめツバメやカラスなど野生の鳥の捕獲や卵の採取をする場合、府への許可申請が必要となるが、業者は「(卵を)取ったり壊したりしなければ問題ない」と認識、府への許可申請を経ないまま、卵のある巣を地面に移し枝を伐採。親鳥は飛び去った。

鳥獣保護管理法を管轄する府農村振興課は取材に対し、「悪質ではないが卵があったのなら申請が必要だった」とする。一方、「申請を受けた場合、府としては『巣立ちまで受忍できないか』とお願いはするが、捕獲は許可するケース」とした。

寺は「墓石がふんでまだらに染まる上、子育てシーズンの5〜6月には午前5時から午後10時ごろまで鳴き近所から苦情もあった。人間の勝手で申し訳ないが、放っておけば増え続ける。苦渋の判断だった」としている。(小川卓宏)

撤去後、近所に巣 “いたちごっこ” 人為的に影響のない場所への誘導など共存の智恵も

旧了徳寺跡に新たにできたアオサギの巣。ここも今後、開発が予定されている(京都市上京区)

住宅街のアオサギ営巣地が巨大化すると、ふんの臭いや乾燥して風に舞い上がる粉じんが問題となり、樹木の枯死を引き起こすケースもある。巣を撤去しても近隣に新たな巣を作るため全国でイタチごっこが続く。ただ、共存するための智恵もあるようだ。

日本野鳥の会京都支部によると、廬山寺のアオサギは以前は隣の京都御苑内を点々としており、2019年3月、九条池付近でふん害や倒木の恐れから樹木が伐採された後、寺に飛来するようになった。今回、寺の巣がなくなった後、約500メートル北の旧了徳寺跡に新たな巣ができ、移ったとみられる。

北海道アオサギ研究会の松長克利代表は街中のアオサギについて「全国的に郊外の森が開発でつぶれた上、人が放し増えたアライグマに追われ、安全な街中の孤立林に来る」と指摘。巣を一方的につぶすだけでは別の場所に巣が広がるだけで、人とアオサギとの軋轢も広がるという。

そこで「人為的に影響のない場所へ誘導するのが効果的」と提案する。適切な場所に新たな巣を置いた上で、今ある巣でアオサギが営巣を始める前にドローンや鷹匠などで追い払うと、自然に新たな巣を見つけて移るという。「広域の問題で行政が関わらないと解決できない」と訴える。

行政が関わった対策では、新潟県長岡市の公園にできた大規模コロニーを、県や市が近くの河川敷の森へと移した事例がある。爆竹や吹き流しなどを使い数年にわたってアオサギの飛来を妨害すると自然に移った。その後、森が縮小しアオサギは再び住宅街で営巣を開始。今は大きなコロニーになる前に追い払っている。長岡市立科学博物館の鳥居憲親学芸員(鳥類生態学)は「住宅街ではコロニーの分散を繰り返させ、一つのコロニーを住民に受け入れられる規模にすることで共存している」という。

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