アオサギを議論するページ

婚姻色

アオサギの婚姻色はこの時期に特有のものです。遠目にはそれほど違いがあるように見えませんが、実際はかなりの色変化があります。この婚姻色、あまりに鮮やかなので、とくに目からくちばしの辺りだけ見ると熱帯の鳥でないかと思うほどです。そんなアオサギですから、飛来当初は彩度の低い雪景色の中でいかにも場違いな感じになりそうです。しかし、意外なことに、白い雪をバックにした婚姻色のアオサギはことのほか美しいのです。もしこれが、体全体が派手なのであればそうは見えないと思います。全体としてシックな色調で抑えられているからこそ、婚姻色もアクセントになって映えるのでしょうし、雪の背景でも自然な感じで馴染むのでしょう。

婚姻色で色が変わるのは、目、目元、くちばし、脚、つまり羽毛で覆われず露出しているところ全てです。このうち、目、くちばし、脚は黄色から朱色に変わります。この色はべたっとした色ではなく、たとえば、くちばしは根元のほうの朱色から先端のほうの黄色へとグラデーションがかかっています。より正確な色表現で言えば、牡丹色から梔子(くちなし)色といったところです。また、目元の色は黄色から青紫色に変わります。これも青藤色というのがより正確かもしれません。

この婚姻色はつがいが形成される時期がもっとも鮮やかです。ただ、全ての部位が同じように発色するわけではないのですね。とくに目というか光彩の部分については赤くなるのはごく限られた時だけのようです。他の部分が婚姻色に変わっているときも目だけは普通に黄色かったりします。じつはこの辺の詳しいことはまだ十分研究されてなくて私もよく分かりません。分からないのですが、気持ちや感情がとくに高ぶっている時に赤くなる、これは確かだと思います。

写真はご覧の通り、右が平常時の黄色い目で、左が尋常ならざるときの真っ赤な目です。赤い目のほうは何かただ事ではない雰囲気がびしびしと伝わってきますね。

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